【レポート】フジマル醸造所さんの畑仕事その3

カタシモワイナリー外観

5月に三日間、フジマルさんの畑作業を手伝いに行ってきました。

三日目のお迎えは藤丸さんご本人。

是非見て欲しいと案内されたのは、安堂駅近くにあるカタシモワイナリー。

カタシモワイナリー外観
葡萄畑脇の小道を歩き進むと日本家屋のカタシモワイナリーさんが現れます。

 

カタシモワイナリー内観
醸造所の二階はギャラリーになっていて、木製の圧搾機(ぶどうを搾る機械)の他、当時のラベルなどがありタイムスリップしたようです

スタートアップ当初の藤丸さんに畑を紹介し、後に醸造設備まで提供してくださったのがカタシモワイナリーの高井社長というのはご存知の方も多いはず。

駅から歩いて数分で現れた趣のある日本家屋のワイナリーは、その姿で歴史を静かに物語っており、醸造所では「ひやしあめ」の仕込み中でした。

なぜワイナリーでひやしあめなのか?

ワインづくりにはシーズンがあり、収穫の秋が最も忙しく、初春の瓶詰めが終わると醸造所では作業が無くなります。

高井社長は雇用を絶やさないよう、ワインのオフシーズンには「ひやしあめ」を作られています。

古くから地域に根付くカタシモワイナリーは、ワインをつくるだけでなく、地域の雇用をつくり・維持をされている。

正社員やパートに関係なく、どんなに時間がかかっても一人一人に向き合って話を聞いて事業をここまで継続されてきたとのこと。

カタシモワイナリー加工中の従業員さん
ひやしあめの原料であるショウガを加工される従業員さん。奥にある石の重りにも歴史を感じます。

雇用を維持するために仕事をつくる

高井社長が地域をいかに大切に想われ、従業員やその方の生活を尊重されているかを、少しばかり窺い知ることができたように思います。

カタシモワイナリー高井社長
スピーチ中の高井社長。優しいお人柄がうかがえます^^

そしてカタシモワイナリーのワインと言えば、「たこシャン」が有名ですが、その軽やかな味わいの裏に高井社長の地域への想いがあることを知りました。

高齢化による耕作放棄地は日本の大きな問題ですが、就農したいと畑を借りたくても農家の方は見ず知らずの人に畑は貸して下さらないと聞きます。

藤丸さんが畑を借りられたのは、高井さんのお力添えがあってこそなのですが、そこには地域への想いがあったからだと思いました。

この後は、藤丸さんの最初の畑に向かいます。

続きは最終編にてご紹介しますね。

藤丸さん
貯蔵庫に案内してくださる藤丸さん。二重扉の向こうには温度管理されたワインが眠っています

 

カタシモワイナリー従業員の方々
出荷に追われる従業員の方々

 

カタシモワイナリー出荷場
日本家屋の奥にある出荷場

 

 

【レポート】フジマル醸造所さんの畑仕事その4

 

【レポート】フジマル醸造所さんの畑仕事その2

フジマル醸造所さんの畑

5月に三日間、フジマルさんの畑作業を手伝いに行ってきました。二日目は岩谷さんに迎えに来ていただき、小型の軽トラでいざ出陣!

向かったその先は、、、細い山道の崖の先・・・。車のボディをこすらないと曲がれない細~い山道の先。畑に行くだけで命がけです(>_<

フジマル醸造所さんの畑
この細い山道は左手奥までずっと先まで続きます。そして道の下は崖・・・。やばいです。

当日向かった畑は、岩谷さんの軽トラでしか入れないある意味秘境の地。もちろんトイレなんてありません。畑作業に精神を集中して、一日トイレを忘れるのみ(笑

 

今回は、棚仕立てのデラウエア畑で誘引・除葉です。一つの主枝から一番良い新梢を誘引し、残りを除葉します。

デラウエア
160cmほどの棚仕立てのデラウエア。この中から残す新梢・花芽を選びます。

ここで「もったいない」は厳禁。

ワインにしたときの味わいを見越した設計であり、作り手さんの方針なのです。

『畑作業の時からどのようなワインにするか、その味わいやエチケットのデザインを考えながら作業をするんだよ』と岩谷さん。

 

 【手順】

 1)一本の主枝から出る新梢、花芽を注意深く確認

 2)一番良い(=残す)新梢を選ぶ

 3)残す新梢を番線(ワイヤー)にテープで固定

 4)他の新梢を取り除く

 5)1)から繰り返し

 

棚仕立てなので、主枝は多数あります。しかも、くねくね伸びているので、途中でどの枝の新梢なのか隣の木の枝か分からなくなるので、個を見つつ全体を見て確認する必要があり、なかなか作業は進みません。ちなみに固定する器具は、誘引結束機(テープナー)といい、テープは光に当たって将来は土に返るものなので、畑に落としてもよいとのこと。

テープナー
誘引に欠かせないテープナー。雨で濡れるとテープが送られない(出てこない)ので、都度手で引っ張り出します。

 

テープで固定している様子
新梢を番線(ワイヤー)にテープで固定します。固定する箇所を間違えると花芽が取れるので注意深く・・・

 

この日は雨が本降りになって、レインカットのビニールに雨が当たり滝壺に入ったような轟音で、岩谷さんと会話もできず顔を見合わして笑うのみでした。

誘引した新梢
誘引した新梢。他の新梢を取り除いてスッキリです!

 

初めて棚仕立ての誘引をしましたが、風を入れるためにビニールが途中開けてあるので、足はぬかるみ、手を上げている袖口から雨が入り込み、後半は二人とも雨でビッショリ。

その上、一日中手を上げて首を傾けて作業をするため、気がつくと腰が固まって全く動かなくなりギックリ腰になるかと冷や汗をかきました。ここまで重労働だと、お年寄りの農家さんがやむなく畑を止めてしまうのも理解ができます。。。

 

今回の作業を通して、生半可な情熱だけで畑作業を続けられるものではないと改めて思いました。継ぎ手のいない畑を引き受けて、毎朝畑に出かけて作業をし続けた藤丸さんは、畑で一人何を思われてたのでしょうか。。。

 

この続きは三日目のレポートでご紹介します。

【レポート】フジマル醸造所さんの畑仕事その3